【助成金】雇用調整助成金の申請期限(2ヵ月以内)経過後の提出の場合の救済措置(同時申請)

 雇用調整助成金は、対象期間の休業実績を1ヵ月単位で判定し、それに基づいて支給申請します。この休業実績を判定する1ヵ月単位の期間を「判定基礎期間」といいます。

「判定基礎期間」は、毎月の賃金の計算期間となります。例えば、給与が末日締めの会社であれば、1日~月末までの1ヵ月間が判定基礎期間です。

 雇用調整助成金は、原則として毎月の「判定基礎期間」ごとに支給申請をします。このとき支給申請する判定基礎期間を「支給対象期間」といいます。申請期限は、支給対象期間の翌日から2ヵ月以内とされています。

 例えば給与が末日締めの会社であれば、1月1日~1月31日までの判定基礎期間分は3月31日が申請期限に、2月1日~2月28日までの判定基礎期間分は4月30日が申請期限になります。このように毎月申請していくことが通常でしょう。

 今回の事例は、給与が末日締めの会社で、1月1日~1月31日までの判定基礎期間分の申請を3月31日までに間に合わなかった会社からの相談です。事務担当者がコロナ感染し、書類作成が間に合わず、申請期限が経過してしまったが救済措置はないかという相談です。

 申請期限経過後の救済措置として、「天災などやむを得ない事情」により提出が遅れた場合、理由書を添付して申請することで、申請期限を1ヵ月間延長することができる救済措置が雇用関係の助成金にあります。しかし、この制度は、延長を認めるかどうかは行政側に決定権があり、①必ず延長が認められる訳ではないこと、②コロナ感染したことが「天災その他やむを得ない事情」に該当するか定かでないこと、から確実な方法とは言えません。

 そこで、弊社が提案したのは、「支給対象期間」の特例を使って支給申請する方法です。

 雇用調整助成金は1ヵ月単位で、毎月支給申請している会社がほとんどであるため、支給対象期間=1ヵ月単位と認識している方は大半ですが、これは原則であって、特例制度があります。特例は、複数の判定基礎期間のうち連続する2つ又は3つを「同時に申請」することができる制度です。つまり、連続する最大3ヵ月分をまとめて同時に申請することができ、この場合の連続する最大3ヵ月分の申請期限は、その3ヵ月間(支給対象期間)の翌日から2ヵ月以内になります。この特例は、ほとんどの方が知らないと思います。

 具体的には、1月1日~1月31日までの1ヵ月間、2月1日~2月28日までの1ヵ月間の「2ヵ月分」を、または3月1日~3月31日までの1ヵ月間の「3ヵ月分」を「同時申請」することで、申請期限は前者だと4月30日、後者だと5月31日とすることができます。

 「同時申請」により1月1日~1月31日の原則的な申請期限である3月31日を経過した後でも申請が救済されます。

 なお、「同時申請」する場合でも支給申請書は毎月の判定基礎期間(1ヵ月ごと)に作成しなければなりません。

 また、ここからの内容は各労働局で取扱いは異なると思いますが、1月は休業したが2月は休業ゼロ(あるいは休業規模要件を下回る休業日数だった場合)の場合の対応方法です。

 「同時申請」により実質的に申請期限を延長できる特例は、同時に最大3ヵ月分の支給申請書を提出する場合とされており、1ヵ月分だけの単月の支給申請書の提出だと提出期限は原則の2ヵ月以内が適用されてしまいます。

 1月は休業し、1月分の支給申請書は作成しますが、問題は2月が休業ゼロ(あるいは休業規模要件を下回る休業日数)のため2月分の支給申請書は作成できません。その場合、2月は「当初休業を計画していたが売上・生産の回復等により休業をしなかった」旨を記載した理由書を作成し、これと1月分の支給申請書を提出することで「同時申請」として認める運用がされているところもあるようです。