【源泉徴収】従業員に支給する在宅勤務手当が非課税になります

 緊急事態宣言を受け、リモートワークを再開した企業も多いのではないでしょうか。 リモートワークの場合、個人の自宅で使用し、支払う通信費、電気代の一部を会社が「在宅勤務手当」として給与に加算して支払うことがあります。 この度、「在宅勤務手当」に対して給与課税し、源泉徴収が必要かどうか、国税庁から見解が公表されました。

◆1.課税関係

 在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の「実費相当額」を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する場合は、給与として課税する必要はなく、「非課税」 となります。  ただし、企業が従業員に一律で支給する場合(例えば在宅勤務していなくても毎月1万円を支給)は給与として課税されます。

◆2.通信費(在宅勤務で使用した部分の計算方法)  

 通話明細書等で業務で使用した部分の金額を特定し精算する方法以外に、下記の簡便計算で求めた金額とすることもできます。  

(算式)1ヵ月の基本使用料、通話料等×在宅勤務日数÷月の日数×1/2

【例】9月の在宅勤務日数20日、9月の基本使用料・通話料1万円の場合

   10,000円×20日÷30日×1/2=3,334円(1年未満切上)

◆3.電気料金(在宅勤務で使用した部分の計算方法)  

 基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があり、下記の簡便計算で求めた金額とすることもできます。  (算式)1ヵ月の基本料金・電気使用料×業務使用した部屋の床面積÷自宅の床面積×在宅勤務日数÷月の日数×1/2

◆4.レンタルオフィス費用を負担した場合  

 従業員が自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行った場合で、その代金を会社が支給した場合も非課税となります。

◆5.在宅勤務手当に係る社会保険、雇用保険、労災保険の課税関係  

 「在宅勤務手当」に似たものに「通勤手当」「出張手当」があります。 「通勤手当」について、所得税は非課税ですが、社会保険・雇用保険・労災保険は課税対象になります。一方で「出張日当」で実費精算のものについては、所得税、社会保険・雇用保険・労災保険も非課税になります。通勤手当は「労働の対償」であることから社会保険などの課税対象になるのに対して、出張日当は経費の実費精算であることからすべて非課税として取り扱われます。 「在宅勤務手当」は上記の「出張手当」の実費精算のものに類似するため、社会保険、雇用保険、労災保険も「非課税」になると考えられます。  給与と一緒に支給する際は、「時間外手当」や「通勤手当」などの項目に追加するのではなく、支給控除項目(源泉所得税や住民税など)に追加します。